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フィンランド原子力法改正 許認可手続き簡素化へ
書誌情報
要旨
フィンランド政府は2026年3月12日、新しい原子力法案を議会に提出した。改正の主眼は安全性を維持しながら規制体系を柔軟化し許認可プロセスを簡素化すること。とくに小型モジュール炉(SMR)など新技術の利用促進を明示。現行原子力法の廃止と14法律の改正を伴う大規模な法制整備で、2027年1月1日に施行予定。最大熱出力5万kW以下の発電所は経済・雇用省が評価する簡略審査ルートが設けられる。
背景
フィンランドの原子力政策
- 現在、ロヴィーサ(VVER×2)・オルキルオト(BWR×2+PWR(約1,600MWe)">EPR×1)の計5基が稼働中
- オルキルオト3号機(EPR)は2023年に商業運転開始。欧州最大級の原子力設備容量を誇る
- 2022年のロシア侵攻を機にエネルギー安全保障の観点から原子力の重要性が再評価
- フォルタム社やフェンノボイマ社などが新設・SMR導入の検討を進めている
現行規制の課題
- フィンランドの原子力法は1987年制定と古く、大型PWR・BWRを念頭に設計された規制体系
- SMR・先進炉・分散型電源といった新技術への対応が不十分との指摘があった
- 許認可手続きが長期化する傾向があり、事業者からの改革要望が強かった
欧州全体の規制改革動向
- EU「Net-Zero Industry Act」(2024年)では原子力をクリーン技術として明記
- 英国・フランス・スウェーデン・チェコなど各国でSMR向け許認可制度の整備が相次ぐ
- IAEA・OECD/NEAも「SMR規制調和」のガイドライン策定を推進中
主な内容
法改正の主な柱
- 現行の原子力法(1987年法)を廃止し、新法に一本化
- 放射線法・刑法を含む14の関連法律を整合改正
- 規制体系をリスク・インフォームド原則に沿って柔軟化
SMR向け簡略審査ルートの新設
- 最大熱出力5万kW以下の発電所プロジェクトは「経済・雇用省」が評価する簡略ルートを設置
- 従来の「内閣決定(VnP)」プロセスが不要になり、許認可期間の大幅短縮が見込まれる
- エネルギー消費地に近接したSMR発電所(産業用熱供給・地域暖房等)の実現を後押し
施行スケジュール
- 議会提出:2026年3月12日
- 施行予定:2027年1月1日
- 現政権期間中(2027年まで)に新規則に基づく申請受理が可能になる
今後の展開
- 議会審議・委員会審査を経て2026年後半に法成立が見込まれる
- STUKが施行規則(下位法令)の整備を並行して進める予定
- 新法施行後、フォルタム・VTT等によるSMR導入申請が相次ぐ可能性
- スウェーデン(KNXT)・デンマーク等、北欧各国のSMR規制整備と連動した地域連携が進む見通し
- EU規制調和フレームワークとの整合確認作業(EURATOM条約との整合)も並行
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