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韓国 米船級協会とSMR推進船舶の共同開発で提携
書誌情報
要旨
韓国のHD現代(ヒュンダイ)傘下の韓国造船海洋エンジニアリング(KSOE)とHD現代三湖(HSHI)は2026年3月9日、米国船級協会(ABS)と16,000 TEU級コンテナ船向け原子力電気推進システムの概念設計に関する共同開発契約(JDA)を締結した。最大10万kWe級SMRを動力源として活用し、IMO・IAEAの規制要件に適合した次世代カーボンフリー大型船舶の実現可能性を検証する。
背景
海運業界の脱炭素化圧力
- IMOは2050年までに国際海運のGHG排出量をネットゼロとする目標を設定
- LNG・メタノール・アンモニア燃料に加え、原子力推進が「究極のゼロエミッション」選択肢として注目
- 大型コンテナ船(15,000 TEU以上)は航続距離・出力要件が高く、SMRとの相性が良い
韓国の造船・原子力戦略
- 韓国は世界最大の造船国(受注量シェア40%超)であり、次世代船舶の主導権確保に注力
- 政府は「原子力推進船舶」をK-SMR輸出戦略の柱の一つに位置づけ
- HD現代は2025年2月にヒューストンサミットで15,000 TEU級SMR駆動コンテナ船を初公開
開発の経緯
- 2025年9月のGastech(ミラノ)でKSOE・HD HHIが16,000 TEUコンテナ船電気推進概念設計のAiP(基本設計承認)をABSから取得
- 今回のJDAはそのAiP取得後の次フェーズ(原子力推進への発展)にあたる
主な内容
共同開発契約(JDA)の骨子
- 締結日:2026年3月9日
- 当事者:KSOE・HSHI(HD現代グループ)+ABS(米国船級協会)
- 対象:16,000 TEU(20フィートコンテナ換算)級大型コンテナ船
- 推進方式:SMR(最大10万kWe級)を利用した原子力電気推進
技術設計の特徴
- ツインスクリュープロペラ:推進力と機動性の向上
- 直結推進方式:エンジンモーターをプロペラに直接連結しエネルギー損失を最小化
- リーファーコンテナ(冷凍・冷蔵貨物)積載拡大:SMRの大電力供給能力を活用
- 強化安全基準:衝突・浸水などの緊急事態でも安全性を確保する設計
規制適合性
- IMO規定および国際原子力機関(IAEA)安全基準への適合を設計に反映
- 船内電力システムへの国際規制対応・運航信頼性確保が方針
協力内容
- 原子力電気推進システムの技術的実現可能性評価
- 電子製品仕様の選定・動力設備のレイアウト設計
- コンテナ船向けに最適化した基本設計の策定
今後の展開
- JDA成果をもとにABSからの正式な基本設計承認(AiP)取得を目指す
- IMO・IAEA・各国海事当局との規制整備の進捗に合わせ、詳細設計・実証フェーズへ移行
- 韓国政府の「K-SMR輸出」戦略と連携した国際展開(欧州・中東海運会社との協議)が想定される
- 日本でも三菱重工・IHI等が原子力船舶に関心を示しており、国際的な競争・協力の枠組みが形成される可能性
関連キーワード
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