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米INLで試験炉が50年ぶりに完成
書誌情報
要旨
先進炉開発企業 Aalo Atomics 社は2026年3月19日、アイダホ国立研究所(INL)構内に建設した臨界試験炉
「Aalo-1」を公開した。INLサイトへの新規炉建設は1970年代以来約50年ぶり。
出力1万kWeの非加圧型ナトリウム冷却炉で、更地から完成まで約70日という驚異的な速さで建設が完了した。
2026年7月4日までの初臨界達成を目指し、2027年にはデータセンターへの電力供給を計画している。
背景
- 米国では先進炉(非軽水炉)の実用化が重要な政策課題となっており、DOEが複数の開発企業を支援している
- Aalo Atomics 社はDOEの「原子炉パイロットプログラム(RPP)」に選定された企業の一つで、連邦政府からの財政支援を受けている
- ナトリウム冷却炉はNuScale(PWR)やTerraPower(ナトリウム炉)などとともに注目を集めており、冷却材の高沸点・良好な熱伝達特性を活かせる設計が特徴
- AI・データセンターの急拡大に伴う電力需要急増を背景に、大型グリッドへの接続を必要としない小型分散型電源として先進炉への期待が高まっている
- INLはアイダホ州に位置する米国最大の原子力研究施設で、過去には多数の試験炉を運転してきたが、1970年代以降は新規建設が途絶えていた
主な内容
① Aalo-1 の主要仕様
| 項目 | 内容 |
| 炉型 | 非加圧型ナトリウム冷却炉 |
| 電気出力 | 1万 kWe(10 MWe) |
| 燃料 | LEU+(低濃縮ウラン、濃縮度8%) |
| 減速材 | グラファイト(黒鉛) |
| 用途 | データセンター専用電源 |
| 建設期間 | 約70日(更地から完成まで) |
② 許認可プロセスの迅速化
- DOEによる予備的安全解析報告書(PSAR)の審査をわずか14日で完了という異例の速さ
- 既存の規制枠組みを活用しつつ、DOE管轄のINLサイト内に建設することで許認可の簡素化を実現
- 「更地から70日で完成」という実績は、先進炉の建設コスト・工期の常識を塗り替える可能性を示唆
③ 商用展開計画
- 商用発電所モデル「Aalo Pod」:出力5万 kWe(50 MWe)
- 2029年までの稼働を目標に開発を加速
- データセンター向けに複数台を束ねたモジュール展開を想定
今後の展開
- 2026年7月4日(米国独立記念日)を目標に Aalo-1 の初臨界を達成し、試験運転を開始
- 2027年にはデータセンターへの実電力供給を開始し、商用実績を積む
- 試験炉での運転データをもとに Aalo Pod(50 MWe)の設計を最終化し、2029年の稼働を目指す
- DOEの原子炉パイロットプログラムの成果として、他の参加企業(TerraPower の Natrium、Kairos Power の Hermes など)との競争・比較が注目される
関連キーワード
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