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増井理事長 原子力人材確保へ提言 原賠制度の見直しにも言及
書誌情報
要旨
日本原子力産業協会の増井秀企理事長は2026年3月30日、第40回原子力科学技術委員会(文部科学省)に委員として出席し、ポストANEC体制(原子力人材育成の次期枠組み)に向けた方向性と、原子力損害賠償(原賠)制度の見直しの必要性について意見を述べた。人材育成ネットワークのコアチームが2026年4月から本格始動することを明らかにし、次世代革新炉への投資判断を阻害する現行原賠制度の事前検討を求めた。
背景
ANEC(先進的原子力教育コンソーシアム)とは
- 文部科学省が主導する原子力人材育成支援事業。令和2〜8年度(2020〜2026年度)の7年間が対象
- 大学・研究機関への資金援助・プログラム支援を行い、理工系学生の原子力分野への参入を促進
- 事業終了に向け、後継枠組み「ポストANEC」の設計が2025〜2026年に本格化
原子力人材育成ネットワークの現状
- 2010年11月発足、産官学84機関が参加する自主的な連携枠組み
- 増井理事長が運営委員会委員長を兼務
- これまで情報共有・連携促進が主な機能だったが、司令塔機能の付与が検討されている
原賠制度と次世代革新炉投資の関係
- 現行の原子力損害賠償法(原賠法)は原子力事故時の損害賠償を事業者に無限責任として課す仕組み
- 次世代革新炉(SMR・高速炉等)への大規模投資を検討する事業者・投資家にとって、無限責任リスクが資金調達の障壁になりうる
- 米国(Price-Anderson法)や欧州諸国は賠償上限額を設定する制度を採用しており、日本の制度との差異が投資環境に影響
主な内容
ポストANECの方向性
- コアチームの組成が完了し、2026年4月から本格始動予定
- 事業期間の大幅延長を検討:現行7年間→ポストANECでは10年間規模を視野
- プログラム選定方式の抜本改革:現行の公募形式 → 「必要な教育メニューを事前策定し、実施機関を選定する方式」へ転換
- コアチームには産官学に加え規制当局(NRA)も参画する方向
原子力損害賠償制度の見直し
- 次世代革新炉への投資検討が進む中、現行制度では「資金調達・投資判断の障害となりうる」と指摘
- 「過去の議論にとらわれず、時間的余裕を持って事前検討を進めるべき」と提言
- 制度見直しは政治的に難易度が高いため、長期的な議論の積み重ねが必要という認識
今後の展開
- ポストANEC:2026年4月のコアチーム始動後、年内に具体的なプログラム・予算規模・参加機関の選定が進む見通し
- 原賠制度:短期での法改正は困難だが、経産省・文科省・内閣府が連携した検討会の立ち上げが今後の焦点
- 翌4月2日の原子力小委でも同様のテーマが議論されており(→ 関連記事参照)、政策の一体的な前進が期待される
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