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セルビア 原子力導入をめぐり仏EDFと協議
書誌情報
要旨
セルビアのハンダノヴィッチ鉱業・エネルギー大臣がフランス電力(EDF)経営陣と会談し、原子力分野での協力継続を協議した。セルビアは2024年11月のエネルギー法改正により、1989年のチョルノービリ(チェルノブイリ)事故後のモラトリアムを35年ぶりに解除。法整備・NEPIO設立・2032年の炉型選定・2040年以降の稼働という段階的計画が示された。ロシアのロスアトムも同時期にセルビア指導部と協力協議を行っており、EDF・ロスアトム双方がアプローチする構図となっている。
背景
セルビアの原子力モラトリアムと解除
- 1989年、旧ユーゴスラビア時代にチョルノービリ事故(1986年)を受けて原子力開発モラトリアムを法制化
- 2024年11月、セルビア議会がエネルギー法改正法案を採択し、35年ぶりにモラトリアムを解除
- 欧州では原子力モラトリアム解除の動きが続いており(ドイツとは逆方向)、エネルギー安全保障の見直しが背景
セルビアのエネルギー事情
- 電源構成は石炭(褐炭)依存度が高く、脱炭素化が急務
- EU加盟候補国として、2050年カーボンニュートラル目標への対応が求められる
- ロシア産ガスへの依存低減という地政学的課題もある
バルカン半島の原子力動向
- ルーマニアはカナダ型CANDU炉の拡張・SMR(NuScale)導入計画が進行中
- ブルガリアはコズロドイ原発の運転延長・新設計画を検討
- 中東欧・バルカン地域でロスアトムとEDF・西側が競合する構図が続く
主な内容
EDFとの会談内容
- ハンダノヴィッチ大臣がEDF経営陣と2026年3月13日に会談
- 「原子力分野での協力継続」について協議
- 人材育成・技術支援でのEDF協力への期待を表明
セルビアの段階的原子力導入計画
- 法制度・組織的枠組みの整備(現状:整備途上)
- NEPIO(原子力プログラム実施機関)を近い将来設立
- 2032年までに炉型選定・建設契約入札準備を完了
- 2040年以降の初号機稼働を目標
ロスアトムとの並行協議
- ロシアのロスアトムも同時期にセルビア指導部(大臣・大統領府)と「協力拡大」について協議
- EDF(西側)とロスアトム(ロシア)の双方がアプローチする競合構図
- セルビアの地政学的立場(EU加盟候補かつロシアとの関係維持)が炉型選定に影響する見込み
今後の展開
- NEPIOの設立が最初の具体的マイルストーン。IAEAのIRRS(統合規制審査サービス)受審も必要
- 2032年の炉型選定に向けてEDF(PWR(約1,600MWe)">EPR系・SMR)、ロスアトム(VVER)、韓国KEPCO(APR)などが競合する見通し
- EU加盟への道筋を優先するならEDF・西側陣営が有利だが、エネルギー安全保障・コスト面ではロスアトムも競争力を持つ
- ウクライナ戦争の推移次第でロスアトムとの協力関係に制約が生じる可能性
- セルビアの原子力導入成功はバルカン半島全体への波及効果を持ちうる
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