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ポーランド初の原子力発電所 規制当局に建設許可を申請
1. 書誌情報
2. 要旨
ポーランド国営原子力事業者 PEJ が2026年3月31日、国家原子力機関(PAA)に対してポーランド初の原子力発電所(AP1000×3基、合計約375万kWe)の建設許可を申請。1989年以降初の申請であり、着工2028年・初号基運開2036年を目標とする国家計画の重要マイルストーンとなった。
3. 背景
- ポーランドは電力の約70%を石炭火力に依存しており、EU の脱炭素化要求への対応が急務
- 1989年の民主化以降、原子力発電所建設計画は何度も浮上しては頓挫してきた経緯がある
- 2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、エネルギー安全保障の観点から原子力への政治的支持が急速に高まった
- 2023年に米ウェスチングハウス社(AP1000)を優先パートナーとして選定し、2024年に政府間協定(米波)を締結
- 韓国 KHNP(APR1400)との競争的議論もあったが、米国製 AP1000 に一本化された
4. 主な内容
- 申請者・申請先:PEJ(Polskie Elektrownie Jądrowe、国営)→ PAA(国家原子力機関)に建設許可を申請(2026年3月31日)
- サイト:北部ポモージェ県ホチェボ自治体内のルビアトボ–コパリノ。バルト海に近い平坦な沿岸部
- 炉型・規模:ウェスチングハウス製 AP1000(125万kWe)3基。建設はウェスチングハウス+ベクテルの米コンソーシアム
- 申請書の規模:4万ページ超。200名以上の専門家が作成。予備安全解析報告書(PSAR)に設計・安全・セキュリティ・放射線防護・保障措置を網羅
- 二段階許認可:PAA の建設許可に加え、ポモージェ県知事による建設許可も必要(2027年申請予定)
- スケジュール:着工 2028年10〜12月、初号基運開 2036年目標
- 政治コメント:エネルギー省のヴロースナ次官が「1989年以降初かつ唯一の申請」と歴史的意義を強調
5. 今後の展開
- PAA による PSAR 審査(数年規模)が正式に開始。審査期間中に設計の確認・公衆関与プロセスが進む
- 2027年にポモージェ県知事へ建設許可を申請し、地方政府レベルの承認も並行して取得する必要がある
- AP1000 はジョージア州ヴォーグル3・4号機(米国)で建設経験が積まれており、ポーランドはその後継案件として位置づけられる
- EU タクソノミーで原子力が「移行エネルギー」と認定されており、EU 資金活用の可能性も検討課題
- 2号基・3号基の運開は2038〜2040年代となる見通し
6. コメント
7. 関連キーワード
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AP1000 は加圧水型(PWR)の第三世代+炉で、受動安全系(重力・自然循環・蓄圧による冷却)を特徴とする。 BWR と比較すると一次系が加圧状態で圧力容器内に蒸気発生器を持つ点が大きく異なるが、 受動安全思想(能動系への依存低減)は ESBWR・SMR。受動的安全設計を特徴とし、カナダ・英国・スウェーデン等で許認可手続き中">BWRX-300 と共通する設計トレンドである。
ポーランドの申請書が4万ページ・200名超の体制で作成された事実は、 新規原子力国が許認可プロセスを立ち上げることの人的・制度的コストの大きさを示している。 フィリピンやその他の新規導入国がこれからフィージビリティスタディや規制整備を進める際の現実的な参考例になる。
同日(4月2日)に記事化されたフィリピン SMR(USTDA 資金支援)と合わせて読むと、 大型炉(AP1000)を選ぶ欧州と SMR を志向する東南アジアという対比が浮かぶ。 電力需要規模・送電網の成熟度・資金調達力の差が炉型選択に直結している。