| タイトル(英) | UK ABWR Generic Design Assessment — Generic PCSR Chapter 14: Control and Instrumentation |
| タイトル(和) | UK ABWR 包括的事前安全報告書 第14章:制御・計装 |
| 著者・機関 | Hitachi-GE Nuclear Energy, Ltd. |
| 文書番号 | GA91-9101-0101-14000 Rev.C(Document No. 3E-GD-A0063) |
| 種別 | Generic Pre-Construction Safety Report(PCSR)— GDA提出資料 |
| Copyright | 2017年 Hitachi-GE Nuclear Energy, Ltd. |
| 対象炉型 | UK ABWR(参照設計:柏崎刈羽6・7号機 J-ABWR) |
| 分野タグ | C&I HWBS ATWS ARI SLC RPT BWR 深層防護 CCF対策 GDA |
| UKABWR_CI_Document.pdf |
UK ABWR 包括的事前安全報告書 第14章:制御・計装
英国のジェネリック設計評価(GDA)プロセスに提出されたHitachi-GE社のUK ABWR設計安全報告書のうち、計装制御(C&I)系統全体の安全ケースを述べた章。参照設計(J-ABWR:柏崎刈羽6・7号機)からの変更点の整理と、UK固有の規制要求(ONR SAP・IEC標準)への適合性実証が主たる内容。
| 系統名 | 略称 | クラス | プラットフォーム | カテゴリ | 信頼性目標 |
|---|---|---|---|---|---|
| Safety System Logic and Control System | SSLC | Class 1 | vCOSS®(FPGA) | A | 1×10⁻⁴/yr, 1×10⁻⁴ pfd |
| Hardwired Backup System | HWBS | Class 2 | ハードワイヤード(リレー・アナログ) | A | 1×10⁻²/yr, 1×10⁻² pfd |
| Safety Auxiliary Control System | SACS | Class 2 | vCOSS®(FPGA) | B | 1×10⁻²/yr, 1×10⁻² pfd |
| Plant Control System | PCntlS | Class 3 | HIACS(マイクロプロセッサ) | — | 1×10⁻¹/yr |
| Severe Accident C&I System | SA C&I | Class 2/3 | ハードワイヤード+組込み | B | 1×10⁻²/yr |
| Reactor/Turbine Auxiliary Control System | ACS | Class 3 | HIACS | — | 1×10⁻²/yr |
| Plant Computer System | PCS | Class 3 | HIACS | — | N/A |
| Others(組込みC&I) | — | Class A-C/1-3 | 各種 | — | — |
| DiDレベル | 目的 | 対応C&I系統 |
|---|---|---|
| Level 1 | 異常運転・故障の防止(設計マージン) | ACS・PCntlS(Class 3 HIACS) |
| Level 2 | 異常運転の制御・故障検出 | ACS・PCntlS(HIACS)+SSLC(A-1 vCOSS®) |
| Level 3 | 設計基準事故の制御 | SSLC(A-1 vCOSS®)・SACS(B-2 vCOSS®)・HWBS(A-2 ハードワイヤード) |
| Level 4 | 設計超過事故・重大事故の防止・緩和 | HWBS(A-2)・SA C&I(B-2/3)・SSLC・SACS |
| Level 5 | 放射性物質の大規模放出の緩和 | SA C&I(B-2/3 ハードワイヤード+組込み) |
| 機能分類 | 系統名 | 略称 | ATWS緩和における役割 |
|---|---|---|---|
| 反応度制御 | Standby Liquid Control System | SLC | ホウ酸溶液注入によるATWS時の主要反応度制御手段(HWBS中最優先) |
| Alternative Rod Insertion | ARI | SSLC-RPSが失敗したATWSで、HCUエア系を独立手段でベントし制御棒を挿入 | |
| Recirculation Pump Trip | RPT | 再循環ポンプ遮断により炉内流量を低下→負の空隙係数を活用した反応度低下 | |
| Feedwater Stop | — | 給水停止によりATWS時の追加出力上昇を抑制(ARI・SLCと連携) | |
| 燃料冷却 | Reactor Depressurisation Control Facility | RDCF | 炉圧低下→低圧注水(FLSS)への移行を支援 |
| Flooding System of Specific Safety Facility | FLSS | Class 1 ECCSのCCF時のバックアップ炉心冷却(B/B側2系列) | |
| 長期熱除去 | Filtered Containment Venting System | FCVS | 格納容器ベント(フィルタ付) |
| Hardened Vent Line | — | 強化ベントライン |
| 経路 | 系統 | ロジック | アクチュエータ | クラス |
|---|---|---|---|---|
| 主経路(スクラムパイロット弁) | SSLC(RPS/MSIV) | vCOSS® FPGA, 2/4投票 | スクラムパイロット電磁弁(AC)→スクラム弁(CRD-HCU) | Class 1 (Cat A) |
| バックアップスクラム弁 | SSLC(RPS) | 同上 | バックアップスクラム電磁弁(DC)→スクラム弁 | Class 1 (Cat A) |
| 代替制御棒挿入(ARI) | HWBS | ハードワイヤードリレーロジック | ARI電磁弁(チャンネルA・B)→HCUエアベント→スクラム弁 | Class 2 (Cat A) |
本章は、UK ABWRの制御・計装(C&I)システムに関する安全ケースを記述する。これらのシステムについて定式化された高レベルの安全機能クレーム(SFC)、および核安全・環境設計原則(NSEDP)への適合を実証するための安全特性クレーム(SPC)を一覧にまとめる。
提供する情報には、通常運転時および故障時のシステム設計・機能、故障時の安全カテゴリ分類および安全クラス分類、重要なサポートシステム、安全ケースの前提条件、運転の制限および条件、ハザードへの耐性、およびALARP原則への適合が含まれる。
リスク低減措置がJ-ABWRの参照設計に対して追加されている(GDA安全評価を受けて)。これには、主要なSafetyクラス1、2、3のC&I系統間への追加的な多様性の提供と、ハードワイヤードバックアップシステム(HWBS)の導入が含まれる。また、多くの手動ハードワイヤードバックアップ機能への自動化強化の便益についてもALARP評価で検討された。
HWBSはClass 2システムであり、頻繁な設計基準故障に対する第二の保護手段である。加えて、稀な故障・設計超過事故・重大事故に対する保護機能も提供する。HWBSは制御建屋およびバックアップ建屋(B/B)内の制御盤を通じて実装される。このシステムは、SSLCおよびPCntlSのCCFに対する防御を提供する。複雑な技術(FPGA・マイクロプロセッサ)に基づくこれらのシステムに対して、HWBSはハードワイヤード固体素子ベースであり、SSLCおよびPCntlSと多様な信号変換器・比較器を使用する。
HWBSの主要安全機能:
自動SLC・ARI・RPT・Feedwater Stopは、RPSのCCF緩和のために、SSLCが使用するものとは電気的に独立した多様なセンサから直接信号を受信する。SLCはHWBSの主要な反応度制御手段であり、RPTおよびFeedwater Stop機能がSLCをサポートして負の反応度を追加供給する。
SSLCは2系統の電磁弁によってHCU(液圧制御ユニット)を操作し制御棒を挿入する。SSLCのRPSおよびその電磁弁の故障によりATWS事象が発生した場合、HWBS ARIは制御棒を急速に挿入するための代替手段を提供する。これはHCUの計装エア系に設置された排気弁を開くことで達成される。HWBS ARI機能を支援するのがHWBS RPT(再循環ポンプトリップ)であり、ATWS事象時の追加負反応度を提供する。HWBS主要反応度制御手段はSLCの起動を通じたものであるため、この機能は深層防護として位置づけられる。
ARIのC&Iによる制御棒挿入は、独立手段によりRPSのC&Iと多様な方法で達成される。ARIはSSLC-RPSが操作するHCUの2系統の電磁弁とは独立したセンサ・ロジック・排気弁を用いて、3番目の手段を提供する。
この文書から着想した研究課題・アイデア:(→ ideas.html に詳細)
【アイデア1】HWBS センサ独立性の定量的評価:ATWSに対するCCF影響の不確かさ解析
UK ABWRではHWBSセンサをSSLC(RPS)センサと「電気的に独立」させているが、14.5.3節でRPVへの共通貫通部を通じる圧力・水位センサラインは一部共用されることが示唆されている。ATWSシナリオにおいて「SSLCとHWBSの両者が同一信号入力路に依存する」ケースが生じた場合の安全裕度を確率論的に評価する手法を検討できる。
【アイデア2】HWBS ARI の応答時間評価:ATWS緩和シーケンスへの影響感度解析
ATWS解析において、ARIによる制御棒挿入開始タイミングとSLC注入開始タイミングの相関が重大である。本文書では個別の起動遅延(センサ応答、ロジック遅延、電磁弁動作時間)が明示されていない。RELAPまたはTRACE/PARCSを用いたATWS解析で、ARI応答時間感度をパラメタサーベイし、CLTPおよびMELLLA+運転領域での出力ピーク特性を評価することは実務的価値が高い。
【アイデア3】UK ABWR HWBS設計のBWRX-300等への展開可能性の技術的検討
UK ABWRで確立したHWBS(SLC+ARI+RPT)の独立バックアップ構成は、BWRX-300のような小型BWR設計への転用が検討課題となる。自然循環BWRX-300では再循環ポンプが存在せずRPTが適用できないため、代替の反応度抑制手段(例:SRV自動開放による蒸気排出、制御棒駆動水圧システムの受動的作動)との組み合わせを評価する研究に発展できる。
ATWSバックアップ系の独立性確保における本文書の意義:
本文書はATWS緩和の観点から特に重要な参考資料である。SLC・ARI・RPTをまとめてHWBSとして「Class 2 Cat A」に位置付け、SSLCとは異なるセンサ・ロジック・アクチュエータで構成する設計思想が明確に記述されている。
特に注目すべきは、ARI が HCUエアシステムに接続された「第3の制御棒挿入経路」として明示されている点である。SSLC-RPSはスクラムパイロット弁2系統(パイロット弁・バックアップスクラム弁)を持ち、ARIが加わることで計3系統の物理的に異なる挿入経路が確保される。J-ABWRのATWS解析で前提とされる「ARI+SLC」の並行作動がUK設計でも同様に担保されている。
BWRエンジニアとして気になる点は、ARI の応答時間マージンである。RPTによる再循環流量低下とSLC注入開始のタイミングが適切でないと、ATWS中の出力制限が遅れる。本文書はこの点のタイミング解析を詳述していないが、GDA後フェーズで詳細設計が行われる旨が記されており、実機適用の際は応答時間の定量的評価が不可欠と感じる。
また、センサ独立性の具体的な構成(どのセンサが共用されているか)については、RPV貫通部の制約から一部センサが共用されることが14.5.3節で言及されている。ATWS解析において「単一故障基準」を厳格に適用した場合のセンサ共用の影響は、CCF評価で明示的に扱う必要があると思われる。