| 著者 | Marco Tancon, Antonio Abbatecola, Stefano Bortolin, Lorenzo Facco, Riccardo Parin, Davide Del Col |
|---|---|
| 所属 | パドヴァ大学産業工学科(イタリア)、TerraXcube / Eurac Research(イタリア) |
| 雑誌 | Applied Thermal Engineering |
| 巻号・ページ | Vol. 278 (2025), 127128 |
| 受理・掲載 | 受理:2025年6月4日 / オンライン掲載:2025年6月7日 |
| DOI | 10.1016/j.applthermaleng.2025.127128 |
| 分野タグ | 液滴状凝縮 熱伝達 親水性表面 二相流 数値モデル |
DWCはFWCより熱伝達係数が数倍高い二相伝熱プロセスだが、従来は疎水性コーティングが必要とされてきた。近年、接触角ヒステリシスが小さい親水性表面がさらに高いHTCをもたらす可能性が示唆されているが、浸水なしにDWCを維持できるかは不明で、DWC→FWC遷移のメカニズムも未解明の部分が多い。
本研究では飽和温度107℃一定・冷却水温度20〜95℃で純水蒸気凝縮実験を実施した。親水性表面上でDWCは有効に維持でき、HTCが疎水性表面比で最大70%高いことが示された。一方で、DWC→FWC遷移はより低いサブクーリングで発生する。DWC熱流束と維持可能なサブクーリング範囲を予測する簡略モデルを提案・検証し、平均偏差12%以内の精度を確認した。
DWCはFWCより大幅に高い熱伝達性能を持ち、凝縮流体と表面の相互作用(濡れ性)によって凝縮モードが決まる。金属表面でDWCを促進するには疎水性コーティングが必要だが、接触角ヒステリシスの小さい親水性表面はさらに高いHTCの可能性を持つ。しかし純水蒸気での高熱流束条件における測定データは乏しく、DWC/FWC遷移のメカニズムも十分に理解されていない。遷移は(1)凝縮速度が掃き取り速度を上回る、(2)サブクーリング増大で最小核生成半径が小さくなり連続膜が形成される、の2つの機序が考えられているが、決定的な知見は得られていなかった。純水蒸気を用いたDWC/FWC遷移の文献は TakeyamaとShimizu(1974)のみで、遷移熱流束のピークは7 MW m⁻² 超と報告されている。
試験体は6082アルミ合金(50×20 mm)にゾルゲルシリカコーティング(TEOS/MTES/OTES系)を施したもので、熱処理温度により MTO-450(θₐ=54°、Δθ=24°)とMTO-300(θₐ=71°、Δθ=22°)の2種を作製。参照用にPM-200(θₐ=87°、Δθ=23°)も使用した。実験装置はサーモサイフォンループで、飽和温度107℃・蒸気速度3.5 m/s 一定、冷却水温度を20〜95℃で変化させた。HTCは冷却側熱収支と熱電対(6点)から算出し、高速カメラ(1250 fps)で凝縮形態を可視化した。
凝縮モードはサブクーリング(ΔTsub)に応じて4領域に分類できた(MTO-450の場合):
3表面の比較では、濡れ性が高い(接触角が低い)ほどDWC時のHTCが高い一方、FWCへの遷移は低いサブクーリングで発生する。MTO-300はΔTsub ≈ 5 K、PM-200は調査範囲全域でDWCを維持した。液滴サイズ分布はいずれもLe Fevre–Roseモデルとよく一致した。
DWC熱流束は、小・大液滴の熱流量 Qd(r) と液滴サイズ分布 N(r) を積分して算出する(式7)。液滴脱離半径 rmax は重力・蒸気速度・接触角を考慮した力のつり合いから求める。DWC/FWC遷移予測は「液滴成長の特性時間τgrowth と除去の特性時間τsweepの比較」によって行い、τgrowth > τsweep のときDWCが維持され、τgrowth < τsweep のとき遷移と判定する(式18)。核生成サイト密度 Ns = 2×10¹² m⁻² を仮定し、3種の表面すべてで実験データと±12%以内の精度で一致した。Ns の感度分析では、1桁の変化でHTC・ΔTmax とも約7〜14%の変動に留まる。