BWR 給水・安全冷却系の整理

日時:2026-04-05 / タグ:BWRECCS安全系RHRRCICHPCF
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Q1. RHR・RCIC・HPCF・LPCFなど給水・冷却系が混乱している。図付きでまとめてほしい

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BWR主要冷却系統をSVG図(系統概念図・圧力域マップ)付きで整理。各系統の目的・駆動方式・注水位置・水源を一覧化した。

系統目的圧力域駆動
給水系 (FWS)通常運転給水全圧(通常)電動/TD-FWP
RCIC隔離時水位維持高〜中圧蒸気タービン(電源不要)
HPCF高圧時炉心冷却高圧域電動ポンプ
RHR (LPFL)低圧時炉心冷却低圧域電動ポンプ
RHR (SPC/CS/SDC)格納容器冷却・崩壊熱除去低圧域電動ポンプ

Q2. 系統図が見られるサイトはあるか

詳細なP&ID(配管計装図)は安全保障上の理由で基本非公開。
公開資料で最も詳しいのは以下: ABWRなら柏崎刈羽6・7号や島根3号の審査書が参考になる。
ユーザーはNRA審査書を確認することにした。

Q3. RHRは緊急冷却・注水系の総称か

RHRは独立した一系統であり、総称ではない。
緊急冷却系の総称は ECCS(非常用炉心冷却系)
ECCS(非常用炉心冷却系)← 総称
├── HPCF(高圧炉心注水系)
├── RHR の LPFL モード(低圧炉心注水)
└── ※ RCIC は厳密にはECCS外・別系統扱いが多い
RHRはECCSの一員でありながら、ECCS以外の機能(SPC・CS・SDC等)も持つ多機能系統。

Q4. RHR は LPCF と同じか

RHR ≠ LPCF。関係は「親子(系統とモード)」。
RHR(系統名)
└── LPFL モード ← これが LPCF に相当(RHRの一機能)
└── SPC モード
└── CS  モード
└── SDC モード
LPCF(Low Pressure Core Flooder)はRHRのLPFLモードを指す別称・俗称。RHR全体ではない。

Q5. 給水トリップ時、水位に応じて各ECCSが起動するという理解でいいか

概ね正しい。ただし給水トリップ単独なら通常RCICだけで収束する。
水位
通常水位 ─── 給水トリップ → 水位低下
Level 4  ─── RCIC 自動起動(ここで安定するのが設計想定)
Level 3  ─── HPCF 自動起動 / ADS タイマー起動
Level 2  ─── ADS 作動 → RHR (LPFL) 起動

Q6. RHRの各運転モードを教えてほしい

モード目的起動流れ
LPFL 低圧炉心注水(ECCS主力) 自動 S/P → ポンプ → 熱交換器 → RPV下部
SPC サプレッションプール冷却 自動/手動 S/P → ポンプ → 熱交換器 → S/Pへ循環
CS 格納容器スプレイ(減圧) 手動 S/P → ポンプ → D/Wスプレイノズル
SDC 停止後崩壊熱除去 手動 RPV炉水 → ポンプ → 熱交換器 → RPVへ循環
FPC連携 燃料プール冷却補助 手動 SFP冷却系へ接続して代替冷却
SDCは定検・通常停止のたびに使う最も使用頻度の高いモード。

Q7. 水源:HPCFはCSTを使う?RHRはサプレッションプール?

系統一次水源切替後
RCICCST(復水貯蔵タンク)S/P
HPCFCSTS/P
RHR(全モード)S/P(最初から)

Q8. 高圧注水と低圧注水に分かれているのはなぜか

理由:ポンプの物理特性 × 事故シナリオの違い

事故の種類炉圧必要能力対応系統
小破断LOCA・給水喪失高圧維持高圧に打ち勝つ注水HPCF・RCIC
大破断LOCA急速低下大流量で冷却材補充RHR (LPFL)

ADSは「高圧事故を低圧系が使える状態に橋渡しする」役割として設計に組み込まれている。

会話を通じた理解のポイント

  1. ECCS = 総称、RHR = その一員であり多機能系統(モードが複数)
  2. LPCF ≒ RHRのLPFLモード(系統名ではなくモード名)
  3. 給水トリップ単独なら通常RCICだけで収束(HPCF・RHRは待機)
  4. 水源の使い分け:清浄水(CST)→ 炉心直接注水系、大容量(S/P)→ RHR
  5. 高圧・低圧の分担はポンプ特性と事故シナリオに対応したカバレッジ設計
  6. NRA審査書(審査会合説明資料)が系統図を確認できる最も現実的な公開情報源
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